大書架に置かれているノートに書かれたメッセージの一部をご紹介します
(このページは毎月初めに更新、前月のメッセージを掲載しています)
2025年6月
亡き父が大好きたったこともあり、父の本棚から拝借して、中学生のころから司馬作品を読んでいます。『坂の上の雲』『峠』『菜の花の沖』。すばらしい作品群をひとまわりして、やっぱり一番好きなのは、最初に読んだ『燃えよ剣』です。
ほんの城塞の中で、ひととき日常を忘れることができました。
ここは穏やかな気持ちになれる場所であり、グレーのコンクリートとナチュラルな庭がある。本当に好きです。 (原文英語)
読んでいるだけで落ち着き、ワクワクし、あっという間に時間がたっていました。なにげなく手に取って開いたページを読むだけで、世界に入り込める、私に合った作品達に感謝したいと思います。
『風神の門』を本屋で買い、立ち読みしながら家に帰ってしまった、家に帰るのが待ちきれなかったことを思いだします。
今私が見つめている21世紀は司馬遼太郎が見たかった期待した世界になっているのか?……残念ながらまだ私には、人間が自然より偉い立場にいると思い上がっている側面がどうしても見えてしまう。でも悪いことばかりじゃなくて、みんな未来に期待して目標を掲げて頑張っています。輝かしい世界はあります。
ぜひそちらから、覗いてみてください。
大阪に来てから、ずっと訪れたかった場所に来ることができました。
もう一度、時間をとってゆっくり作品を読みたいと思いました。歴史を学ぶきっかけをくれてありがとうございます。
光と影の隙間で、本に囲まれて、現在と歴史のトンネルの中で改めて歴史の道を歩くという実感を得ていました。とてもありがたい勉強になりました!
先生方と違う、私はただ名無しの小人物ですが、得た何かを残せる人になりたいと思います。 (原文ママ)
私は今、父が50年ほど前に自分のお小遣いで買い集めていた本を譲り受け、大切に読んでいます。当時、小中学生だったそうです。
父との会話も司馬作品を通しとてもはずんでいます。自分が大人になり、ようやく父の価値観や大切にしている心情は、先生の作品を読むと心に浸み渡るように感じ理解するようになりました。
先生の「二十一世紀に生きる君たちへ」というメッセージはまさに私たち21世紀に生きる人間の問題そのものを定義していると強く感じます。AIが発達し、私たちは自分で考えることをしなくなりました。また、今、日本だけでなく世界で民族間の摩擦や争いが絶えません。
私は自分の国に誇りをもつほど、この美しい日本をこの先も守っていきたいと強く願いますし、文化を継承していきたいと思っています。その努力も惜しみません。
しかし、その一方で心が閉鎖的になり、日本にも多くやってくる移民について複雑な心境です。先生は、「自分に厳しく、相手にはやさしく」。この人を思いやる心を訓練して、自己を確立せねばならないとおっしゃいました。そして、この根っこの感情が自己に根付けば、他民族へのいたわりもわき出てくると…。
今の世の中は、日本にとどまらず、世界中で同時に自国のアイデンティティまたはナショナリズムを意識する人々と、それに対する人々が対峙する構図が出てきています。
先生のメッセージはまるで今の世の中を予言したかのように言い当てていると思いました。
今日、先生の言葉を読み、改めてこの先どう生きていくか考えるきっかけとなりました。
簡単に答えが出せるものではありませんが、自己を確立する努力を積み重ねていこうと思います。
施設の方の行き届いた管理と手入れ、愛され続ける司馬さんの魅力などのおかげなのだと感じます。僕は6年たって、学生から建築の設計者になりました。この建築のすばらしさは、安藤さん、司馬さん、見学者、街の人たち、施設の方の、たゆまぬ努力で年月をかけた思いの連続なのだと思います。永遠の輝きを、ガラスの向こうから感じました。