作品について(1~5位)
1位 『坂の上の雲』(文春文庫、全8巻)
維新後、はじめて「国民」となった人々は前のみを見つめ近代化をめざす。明治という時代を、近代文学に影響を与えた正岡子規、日露戦争で能力を発揮した秋山好古・真之兄弟ら多くの人々を登場させて描く。
1968(昭和43)年~72年、「産経新聞」に連載。
2位 『竜馬がゆく』(文春文庫、全8巻)
幕末の動乱期、土佐の郷士の家に生まれた坂本竜馬は、型破りな考え方で薩長同盟、大政奉還など歴史の流れに多大な影響を与える。「維新史の奇蹟」といわれた竜馬の生涯をさわやかに描く。
1962(昭和37)年~66年、「産経新聞」夕刊に連載。
3位 『燃えよ剣』(新潮文庫、全2巻)
武州多摩で喧嘩にあけくれていた土方歳三。近藤勇ら天然理心流の同志とともに京へゆき、新選組を最強の機能的な組織に育てあげる。剣のみを信じ、激動の時代を走りぬけた男の生涯を描く。
1962(昭和37)年~64年、「週刊文春」に連載。
4位 『街道をゆく』(朝日文庫、全43巻)
日本国内そして海外を歩き土地に住む人々の言葉に耳を傾け、地域に刻まれた歴史の記憶を呼び起こした文明紀行。司馬作品に登場する歴史上の人物にまつわるエピソードも豊富で、日本人のルーツや、世界に視野を広げて文明の原点を探った。亡くなるまで全43巻、25年2ヵ月に及ぶ最長の連載となった。
1971(昭和46)年~96年、「週刊朝日」に連載。
5位 『峠』(新潮文庫、全3巻)
越後長岡藩の家老河井継之助は藩を武装中立国にしたいと考え奔走する。
封建制度の崩壊を予見しながらも、武士道を貫き藩を率いて官軍と戦うその生涯を通じて、「侍とはなにか」を考える。
1966(昭和41)年~68年、「毎日新聞」に連載。