企画展『翔ぶが如く』―西郷隆盛をめぐるひとびと
『翔ぶが如く』(文藝春秋刊)は、西郷隆盛と大久保利通の対立を軸に、明治国家成立の過渡期を描いた長編小説。
薩摩藩の下級武士として子どものころから親友だった2人、一方は不平士族の思想的存在として、一方は新政府の代表として、なぜ対立を深めたのか。征韓論から西南戦争に至る激動の時代を西郷隆盛という巨人を通して描くこの作品は、日本とは、日本人とは何か、という原作者の思考の過程が浮かび上がってきます。
企画展は新聞連載が4年8ヵ月の長期にわたった長編を、征韓論、不平士族の乱、西南戦争……という柱を軸に、西郷隆盛の人となり、周囲の主立った人々に焦点をあて、長い物語のインデックス的な効果をねらいました。
展示ケース壁面で作品の引用文と連載時の挿し絵担当だった風間完画伯の絵を使いながら時代の流れ、意見の対立、西郷の心情などをビジュアル的に表現しました。一方で、『翔ぶが如く』連載終了時に書いたエッセイ「南方古俗と西郷の乱」「鹿児島再訪」(『司馬遼太郎が考えたこと9』新潮文庫収録)の自筆原稿、新政府が新しく国民になる人々に道徳観念を伝えた「太政官高札」、征韓論を描いた錦絵などを展示し、さらに22枚の挿し絵原画を連続で見せることで小説の世界に誘うようにしました。
【開催期間】 2018年1月23日(火)~7月22日(日)
【主な展示資料】
・自筆原稿「南方古俗と西郷の乱」(初公開)
・自筆原稿「鹿児島再訪」(初公開)
・司馬遼太郎が鹿児島を訪れた際の写真(文藝春秋提供)
・自筆色紙『翔ぶが如く』
・『翔ぶが如く』挿し絵(風間完画)
・錦絵「征韓論之図」(初公開)
・田原坂の戦いで使用された銃弾 (初公開) など
【展示小ケース】(『翔ぶが如く』関連作品)
・『「明治」という国家』(NHK出版)全2冊
自筆原稿「‶青写真″なしの新国家」(第4章)(初公開)
・『坂の上の雲』(文藝春秋) 文庫本全8冊
掲載紙スクラップ 第1~4回
・『歳月』(講談社)文庫本全2冊
掲載誌「小説現代」1969年1月号、第13話「転変」掲載 など
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