企画展『梟の城』――あらためての忍者の世界
直木賞受賞作であり、最初の長編小説でもある『梟の城』をとりあげます。司馬遼太郎の描いた忍者の世界にあらためて想いをはせてもらおうという企画展です。
豊臣秀吉の命を狙う葛籠重蔵、それを阻もうとする風間五平、重蔵に近づく小萩、五平に利用される木さる……伊賀・甲賀の男女4人の忍者の生き方を、徳川家康と石田三成の権力争いを背景にリアルに描いた『梟の城』。新たな忍者像を確立した本作品は、いまなお読み継がれています。
壁面に地図や登場人物、‶物語年表″で構成した『梟の城』の世界を展開し、床面には『梟の城』の自筆原稿(当時のものは存在せず、のち展示用に冒頭部分を書き直した原稿の複製)、司馬遼太郎がこの作品を執筆する際に使用した文机、初版以来13種類もの装幀で出版された本のすべてを展示します。また、忍者が登場するほかの司馬作品の掲載誌や忍者の世界をイメージするための忍具(伊賀流忍者博物館蔵)も見てもらい雰囲気を盛り上げます。
【開催期間】
2018年10月30日(火)~2019年5月6日(月・祝)
【主な展示資料】
・自筆原稿『梟の城』冒頭部分1枚(複製、日本近代文学館蔵)
「芥川・直木賞40年記念展」(1975年)の展示用に書き直されたもの。
・第42回直木賞受賞時の写真(写真提供:文藝春秋)
・各社から出版された『梟の城』13冊(単行本3冊、新書4冊、文庫6冊)
・「作品の跡を訪ねて はじめての長編『梟の城』」
(「小説新潮」1964年5月号 写真提供:新潮社)
・『梟のいる都城』連載第1回「おとぎ峠(一)」
(複製パネル、「中外日報」切抜)
・忍具(伊賀流忍者博物館蔵)
手裏剣(十字手裏剣、六方手裏剣など)
まきびし(鉄製のものなど)
苦無(くない:物を破壊する。土を掘る。格闘に使用。様々な用途がある)など10種類
・『梟の城』を執筆した文机(幅81.5cm 奥行55cm 高さ33cm)
・忍者が登場する作品の本と掲載誌(紙)
『風神の門』(「東京タイムズ」)
「果心居士の幻術」「最後の伊賀者」(「オール讀物」)
「伊賀者」(「週刊読売」)
「伊賀の四鬼」「飛び加藤」(「サンデー毎日」) など
『梟の城』について
1959年度下半期第42回直木賞受賞作品
連載:1958(昭和33)年4月15日~1959年2月15日
掲載紙:「中外日報」
原題:「梟のいる都城」 単行本化に際して「梟の城」に改題
初版発行:講談社 1959年9月20日
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